9. 街の案内人

和やかな 街の案内人は 旅人と共に出かけてゆく
人間だけが 離れた町 名も知らぬ雑草が覆い尽くした
道も線路も 見えなくなった 優しい花が 揺れている

悲しみの数を 計る小箱を見て 
街の案内人はそっと呟いた
この街に残った生き物達は
悲しみを食べながら生きてる

時は止まった ままと嘆いた
人間は何も知り得ないよ
時は生きている 土は皮膚だ 
流れる水は全て 暖かい血だ

踏み固めた土を無視して 
上から被せた 絨毯

恐ろしい物も 全部隠して
そのうち忘れてしまったのだろう

途切れた線路 海が見える駅跡
案内人は泣いてた 旅人は見た